【テニス】バブリンカ、ワウリンカ?正しいのは…?

2015年01月28日 - カテゴリ:テニス
2015年の全豪オープン、応援していた錦織圭は、準々決勝でスタン・バブリンカにストレート負けを喫し、ベスト8という結果に終わりました。とても残念ですが、相手も良いテニスをしていたので、仕方がないですね。

さて、今回錦織選手が負けた相手、バブリンカですが、日本では「ワウリンカ」と呼ばれることもあるようです。私がざっと調べたところ、NHK等では「バブリンカ」、スポーツ雑誌やネット等では「ワウリンカ」と表記されているようです。さて、どちらが正しいのでしょうか。

そもそも、「バブリンカ」を元々のアルファベットで表記すると、「Wawrinka」となります。英語読みで考えると、一見「ワウリンカ」の方が正しいように見えます。

しかし、バブリンカはスイス人ですので、そもそも英語読みで発音するのは間違っています。スイスの公用語は英語ではありませんので。スイスでは、ほとんどの地域でドイツ語が使われ、一部にフランス語や他の言語が使われる地域があります。

バブリンカの出身地は、スイスのローザンヌで、フランス語圏に属します。しかし、基本的にフランス語では「w」は使われず、ほとんど外来語にしか使用されません。よって、「w」は基本的に外来語の発音に即した発音になります。つまり、「Wawrinka」の発音は、バブリンカ自身が主張する発音ということになりそうです。バブリンカの父方の祖父は、元々チェコスロバキアに住んでいて、そこからドイツに逃れて、スイスに住んだということですので、スイスでは珍しい姓なのかもしれません。

ところで、スイスで最も広く使われるドイツ語で「Wawrinka」を発音するならば、「ヴァヴリンカ」となります。なぜならば、ドイツ語で「w」は英語の「v」、つまり「ヴ」の発音だからです。「ヴァヴリンカ」ならば、「ワウリンカ」よりも「バブリンカ」の方が近いですね。

最も有力な情報は、ATP(Association of Tennis Professionals、男子プロテニス協会)の公式サイトにあります。このサイトのバブリンカ選手の紹介ページでは、名前の発音を「va-VINK-ah」と表記しています。これを素直に読むならば、「ヴァヴィンカ」でしょうか。そういえば、全豪オープンが開催されたオーストラリア現地でも、バブリンカ選手が登場する際、「ヴァヴィンカ」に近い発音で紹介していたと記憶しています。この場合でも、「ワウリンカ」よりも「バブリンカ」の方が近いですね。

補足として、英語版のwikipediaでは、バブリンカの発音を「va-VREENG-kah」としています。これをカタカナ表記すれば、「ヴァヴリーンカ」でしょうか。これも、「バブリンカ」の方が近いですね。

言語学的に言えば、言語は「音」が基本で、文字は「音」をできるだけ正確に表現するための道具に過ぎません。文字が常に正しい発音を表記しているというわけではなく、優先度は「音」の方が高いのです。(参考:「はじめての言語学」)

そういえば、昔、ネイティブの先生に英語を教わっていた際、「アウンサンスーチー」の話題になりました。私が「アウンサンスーチー」と発音すると、その先生は「正しくはスーカイだよ」と言っていました。なぜならば、「アウンサンスーチー」を英語で表記すると「Aung San Suu Kyi」となるからです。しかし、後日、その先生は、「ごめん、僕が間違っていた。これは君が言っていたとおり、スーチーと発音するらしい」と私に謝ってきました。おそらくその先生は、アウンサンスーチーを新聞などで読んだことしか無くて、正しい発音が分からなかったのでしょう。

結局のところ、人の名前のような固有名詞は、どのように発音するかはアルファベットを見ただけでは分からないのですね。

少し話が横道に逸れましたが、結論として、バブリンカ選手については、おそらくATPの公式サイトが最も信頼できるソースだと思います。ですので、この公式サイトに則って、日本ではスタン・バブリンカ選手の表記を「バブリンカ」もしくは「ヴァヴリンカ」に統一すべきだと思います。