THE ART OF LAPUTA 天空の城ラピュタ

2013年07月31日 - カテゴリ:本・書評
「THE ART OF LAPUTA」は、名作アニメ映画「天空の城ラピュタ」の画集・設定資料集です。

最後数十ページの「シナリオ準備稿」を除く、ほとんど全ページがカラーで、設定資料の図面等も交えながら、映画の冒頭から最後のシーンまでのセル画を掲載しています。いくつかのシーンでは、アニメーションをコマ送りに近い数のセル画で紹介していたりします。

パラパラをページをめくるだけでも、カラフルな画集のようで、とても楽しめます。また、映画の冒頭からラストまでのシーンを順に掲載していますので、ストーリーも脳裏に蘇ってきます。セリフが入っていないセル画の漫画のような楽しみ方もできます。

私のような大ファンにとって嬉しいのが、設定資料の数々。例えば、以下のようなものは、とても興味深かったです。

・本書の最初の方で、映画のようにおとなしめのシータではなく、茶髪で活発な様相のシータを描いたイラストボードが紹介されています。説明によると、シータを海賊の娘として考えていた時があったそうです。

・映画の冒頭で、飛行船からシータが海賊から逃れ、落下するシーンがありますが、宮崎駿監督によると、「客船の構造を使ってシータが逃げるのを考えていたんですが、タイトル前にちんたらやってもしょうがない、落ちるならさっさと落ちちゃいなってぐあいでやるのやめました(笑)」とのことです。実際に、シータが飛行船の上で海賊から逃げ回るシーンのイラストボードも作っていたらしく、本書ではそれらが紹介されています。

・本書のイントロの部分に、ラピュタが生み出される前の経緯を説明している箇所があります。ここで、ラピュタを作るという決定を下す前に宮崎駿監督が提出した主な企画を紹介していますが、これらが「となりのトトロ」、「もののけ姫」、「戦後物」、「ゲド戦記」だというのです。ご存じのとおり「となりのトトロ」、「もののけ姫」、「ゲド戦記」は、「天空の城ラピュタ」よりも後に発表された作品(「ゲド戦記」は監督が違いますが)なのですが、なんと、「天空の城ラピュタ」よりも先に企画として名前が挙がっていたのです。

これらは、本書に含まれる膨大な情報の、ほんの一部でしかありません。本書を読み返す度に、新たな発見があります。少し疲れたときなどに、パラパラめくるだけでも、カラフルなセル画や宮崎駿監督の手書きの資料を見て癒されますし、文章を読めば、「こんなことも考えていたのか」と思うような発見もあります。

「天空の城ラピュタ」のファンならば、必携の一冊といっても過言ではないと思います。そして、それほどのファンでなくても、十分に楽しめる画集でしょう。

The art of Laputa (ジ・アート・シリーズ (7))
アニメージュ編集部編